クレーム

 昆布を採って、干して、調整して、選別して、荷造りして、出荷する。
 この一貫した生産は、現在も漁業者ごとに行われています。

 ということで、採った場所、干す作業の手間暇、丁寧な調整、愛ある選別と荷造り。ここに違いがあると、当然のように製品の仕上がりにも違いが出てきます。
 ・同じ場所で採ったとしても、見極める目と意識と技量と体力が違えば採れる昆布はまったく違う。
 ・同じ環境で干し上げても、手間のかけ方によっては仕上がりもまったく違う。
 ・丁寧な調整をすることによって、製品の見た目もまったく違う。
 ・最終的には、愛ある選別と荷造りによって製品の価値観に大きな差が生まれます。

 このような環境で生産している昆布ですから、生産者ごとに差が生じるのは当たり前です。なので、あらパパさんたちの検査がこの時代になっても必要なわけなのです。
 
 したけどさ!!道徳心の誤りというか過ちというか、とんでもないことをする漁業者がいたりすると、そこで直接関わったあらパパさんはかなり凹むのです。
 昆布を愛するあらパパさんですが、自信を持って北海道の昆布を勧めることも、自身が昆布を食べることも出来なくなってしまうほどです。
 選別が悪いとか、カビが生えていたとか、等級が間違ってたとか、作業中に間違って異物が入ってしまったとかというクレームならまだしも…。(良いとは言いません)
 今回の件は、こんぶログで詳しく載せることは出来ませんが、あらパパさんの倍近くも生きているベテラン漁業者の行うことなのかとガッカリです。
 本人は『全くわからない・知らない・やってない』というばかりですが、我々プロが現物(水戻しした昆布)を見る限り、確実に人為的な現象であることは分かる。

 たった一人の生産者の行為が原因で、地域全体の評価が下がったり、さらには北海道全体の昆布の価値を下げる要因にもなるのです。

 検査をしている機関が『しっかり検査を行なわないからだろう』と、お叱りやクレームの声もあるかと思いますが、こういった問題は生産者一人ひとりの道徳の問題だとあらパパさんは強く思います。

 如何にして等級を上げ収入を増やすか!?
 目先の儲けだけを意識しての行為なのでしょうが、やりかたが卑劣であまりにも悲しい出来事です。

 今年度の製品指導説明会ではこの事例を紹介し、少しでも漁業者の意識が向上するように進めて行きたいと考えています。
 とは言え、問題発生した地域の製品指導説明会に出席される漁業者はほんの僅か。
 これも、あらパパさんたちの指導力を含めた仕事への姿勢からきた結果なのだと思う。

 あれは忘れもしない2014年8月10日、故郷に帰省した夜の出来事。


 上の写真を見て頂くと分かりますが、お酒が入っていたので詳しくは覚えていないのだけれど、昆布漁師を営んでいる仲間から…『俺さ、いつも昆布ハジかれるんだよな』という話から始まった。
 理由は?と聞くと『昆布の乾燥が良すぎるから』だという。
 それだけじゃ分からないけど、乾燥が良すぎて昆布が割れているという事でもないのか?と聞くも『良く分からない』という。
 理由がわからず不合格になるなら改善のしようがないだろう。だったら、個別に指導してもらったらいいんじゃないか!?

 そんなやりとりがあった中、どのような場面でどのような言葉使いをしたのかは覚えてないのだけれど、もう一人の昆布漁師仲間から『孝幸も同じモノの言い方するんだな』と一言。

 ッとした。
 『あらママさんを僕に下さい』と義父へお願いしたときに断られた悔しい理由も思い出してしまった。
 特に仕事上では一番気にしていた事柄(言葉使いや態度)だったのでかなり凹んだ。そして改めて気づかされた。
 これからの時代(今更遅いですがこれまでも)は、立場に溺れず、どの様な状況や環境であっても真摯な対応が必要であることを…。(当たり前の話で申し訳ありません)

 料理人で例えるなら、レシピ通りの料理を作る接客の悪い店主ではなく、お客様によって素材や作り方や接客を変える店主でもなく、いつでもだれにでも美味しい料理を笑顔で作る気の良い店主のようにならなければ、どれほど必要な仕事や組織であっても『いらない』と言われ、それでお終い。
 たった一人の言動や態度が組織全体の評価につながる。そうならないように、あらパパさんは頑張りたいと思います。
 そして、日々そういった事を肝に銘じながらも気軽に楽しく気持ちよく、様々なことを勉強しそして経験を積んで、浜が潤い活気が出る仕事を続けていきたいと思う。
 

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あらパパさんの叫び