〝だし〟と科学をつなぐ
3年前の利尻産オーガニック昆布を入手しました。
昨年の利尻産オーガニック昆布と味比べしてみます。
昆布の美味しさの差は熟成だけではありません。
採取年の生育状況、天候よる製品化過程の違い、何より作り手である生産者の情熱なんかも無視できません。
まるでワインです
一般の方々が手にし購入できる昆布であっても、産地だけではなく、生産年度や生産時期、生産者の情熱なんかもうかがえる、そんな製品があると面白いな~、なんて個人的に考えてます。
そういった昆布が欲しい使いたいという消費者の方や、そういったものが作りたいという生産者の方々をつなげていける仕事がしたいです。
先日、そんな記事をFBに投稿しました。
そしたらさ、あらパパさんへ昆布WSデビューの切っ掛けとチャンスをくれた友人から、『昆布についていろいろ書かれてます、参考までに』とメッセージが入りました。
タイトルは〝だし〟と科学をつなぐ。
京都で83年続く老舗の料亭、「木乃婦」の店主、高橋拓児さんが〝だし〟と〝香り〟について語ってくれてます。かなりの長文ですが、興味のある方はぜひ一読を。
https://www.tjapan.jp/FOOD/kinofu-mar-18
ちなみに、今日のこんぶログも長くなってしまいました。
『〝だし〟と科学をつなぐ』を読み、とても感動したあらパパさんは、早速FBでもその記事をリンク付した。そして様々なコメントも頂きましたので、内容の一部を紹介させていただきます。
・シェフご自身で3年も昆布を寝かせいるのか、または問屋さんが管理したものなのかをぜひ聞きたい。
・「天日干し」という記述がありましたが、道東以外の産地では天日干しとそうでないものを分けているのでしょうか?
・天日干しとそうでないものでも、香りや風味に違いが出るのか興味が湧きました。
・気になったので個人的に天日と乾燥機の違いを料理から探ってみようと思いました。
・ワインのように味の要素を表現する共通な言葉があれば、楽しいよねーって話していた事を思い出しました。
・最近、味の要素からの表現ではないとたどり着いたのですが、香りか!!固定観念に縛られてました〜。
・黒口浜の促養殖真昆布が、爽やかな青草や、そこを吹く風の香りと表現した記憶があります。
・香りの言葉リスト、高橋シェフを参考にして一緒に作りませんか?
・低温調理器を買ったので、60度2時間を試してみました。出汁と言うより、極上の昆布茶が出来ました。
・昆布は利尻昆布や日高昆布、羅臼昆布などがありますが、うまみ成分の分布はほとんど変わりません。この辺、旨味成分をグルタミン酸ナトリウムって事でひとくくりにして成分を比較しているのかどうか?ちゃんとすべての昆布の分析をして比較しているのか?などなど科学的な数字を欲しいと個人的には思います。私としては、旨味成分は昆布の種類によって変わるものだと推測しています。
・濡れた雑巾のようなにおいや、動物臭も感じられます。こういうのは、乾燥具合が悪かったり、番屋に犬猫がいたりするからじゃないでしょうか、マジで。
・ご自身で寝かすこともできるでしょけど、敦賀の問屋さんのビンテージ某昆布の受け売りだとすると悲しいですけどね。
・天気の悪い北海道での乾燥作業に電気乾燥は欠かせません。しかし、現場でお手伝いをさせてもらって知ったのですが、ボイラーの吹き出し口近くで干した昆布は個人的には買いたくありませんね。
・約1時間65°Cくらいに保つ。これについては、私も同意見というか、同じ感じです。沸騰直前に火を消してから昆布はそのまま入れて40分ほど放置しています。そのほうが圧倒的に旨味が出て美味しくできました。
とまぁ~、いろいろな意見がありました。
それぞれの立場や環境も違うので、考え方も想も全く違ってきます。面白ぇ~。
中でも、昆布屋さんっぽい方の意見は厳しい~ですね。
一般消費者がわからないような隠された生産地の実情を知ってるわけですから、当然といえば当然なんですが…。
だけどね、あらパパさん自身、この記事を読んで感じたのは、結論からいうと「このシェフの味覚と嗅覚はすばらしい」ということです。
昆布の産地や生産状況、はたまた昆布の流通に関わることなど、どの辺りをどう知ってか知らずか、〝香り〟を感じとることで〝昆布の本質までも知り得る〟わけですから大したもんです。あらパパさんは素直にスゴイと思ったし、こういった方と出会ってお話しできたらいいな~と妄想もしちゃいました。
お話のテーマは、当然ですが「昆布の本質」で、です。
昆布屋さんっぽい方の意見には、昆布のうま味成分の分布はさほど変わらないというお話に、納得いかないような感がありますけれど、実はここ最近のあらパパさん、高橋シェフのお話するとおり、『うま味の分布はさほど変わらず、大きく変わるのは〝香り〟』というところに一昨年あたりから氣づいていました。なので、この記事を読んだとき、寒気がするほど感動したのでした。
昆布の本質を知ってるヤツは、分かってるんだな~と
世に出回っている昆布のうま味成分の分析結果や、それらを基に伝えられてきたこれまでの慣習というか先入観というか、そういったことから、〇〇昆布は〇〇昆布に比べてうま味成分は3倍以上または5倍以上あります、という話があるよね。
だからなんだろうね、『どの種類の昆布でもうま味の分布はさほど変わらない』に対して素直に納得できないのは…。
でもね、あらパパさんが思うに、世に出回ってる成分分析の結果って、提出した試料の昆布がどのような品質で、どういった状態のものだったのかということの方が、昆布の本質を知ってる者からすると???なんだよね。
だってさ、昆布の種類も採った産地も違うのだから、それ以外の条件はできる限り同じでなければダメっしょ。
乾燥した昆布を一目見ただけで、1)品質がどの程度のものなのかを判断できるあらパパさんのような人間が、2)全道各地で生産される様々な種類の昆布の特性を判断しながら、3)同品質同部位、乾燥方法や保管方法、乾燥度なども含め、全てを同条件でサンプリングしたものを、4)最低でも3年から5年間分を収集して、5)そして、その分析結果の平均値を求めなければ、少なくとも正確とは言えんでしょう。
この世に散らばってる昆布のうま味成分の分析結果なんて、信憑性は全くないと言っても過言ではないと思う。
ってかさ、あらパパさんはさ、種類毎にうま味成分の分析結果を比べる〝意味〟が分からんのよ。どうせ、贔屓している昆布を優遇するための後付みたようなもんだろう。
大体よ、もともと別の昆布なんだから違って当たり前だし、昆布なんて同じ種類で同じ産地で同じ生産者が採った昆布でさえ、採った日や生えてるところが違えば、舌で味わう美味しさも、うま味成分の含有量も、それこそモノによって全然違うんだよ。
それにさ、人間の食事って、成分分析の結果でダシを味わったり、料理に使ったり、美味しさを感じたりするわけじゃないからな。
あらパパさんの利きダシ体験を何度も経験すれば、昆布の種類によってうま味成分の分布がさほどないことを知ることができます。
昆布のことを勉強中の部下君でさえ、その辺を感じているのだから間違いない。
例えば、普段使いしている昆布と、ダシが3倍濃いといわれる高級昆布を、じっくり時間をかけてダシをとり味比べしてみると分かります。
成分分析では3倍の差があるかどうかは分かりませんが、香りと塩分を差し引いたうま味の差に、倍も感じられるサンプル(同品質レベルのもので)はこれまでなかったよ。ってかほんとに微妙な差なのです。
これを切っ掛けに、あらパパさんが直ぐにとった行動。
昆布WSネタ(仕事っぽい趣味)を一つ増やすことにしました。
昆布の利き香りWS
昆布の利き香りWSを体験していただきたい方々は、昆布の本質を知りたいという方々や、美味しさを追求するプロの料理人のような方を対象にしたいですね。
高橋シェフが〝香り〟をたたせるよう椀の口径や深さなどを工夫するように、あらパパさんも、それぞれの昆布の持つ〝香り〟を感じられるよう、サンプルの昆布には工夫を施してみました。
ここ最近、就業時間前の『昆布の利き香り』が日課になってます。
継続は力なり