昆布検査と熊との思い出
昆布の検査と熊の思い出…。
そんな頻繁にあることではないけれど、あらパパさんの場合はそれなりに経験がある。
昨日、106年ぶりらしいですが、利尻島にクマの足跡が発見されたという知らせがFBで入りました。今日はテレビでもニュースになってましたね。
ここの海岸って、あらパパさんが昨年借りて住んでいた〝沼のほとりの小さな家〟から直ぐのところなんです。でね、この熊さんって、この度渡ってきたのか、はたまた、すでに渡っていて海に出てきたものなのかは、当の熊さんに聞いてみなくては分からない。
実は昨年、沼のほとりの小さな家の前の笹薮からガサガサする動物らしき音が聞こえてきて、当時、島には鹿も熊もいないはずと信じてたし、音を立てるといえばイタチかリス?かなと。それにしては音が少々大きいかな?なんて思いながら、音のする方に口笛を鳴らしたりして観察してたことがあったんだよね。当然、昼じゃなく夜だよ。街灯も少ない真っ暗な夜の沼浦(オタトマリ沼)で。
多分違うとは思うけど、今回の出来事を知ったとたん、今になって何だか一瞬ゾッとした。
あらパパさんの経験した昆布検査と熊との思い出を遡ってみよう。
何年か前に、えりも町で熊の出没が多かった時、いつも検査で巡回している漁業者の倉庫付近に設置された罠にヒグマがかかった。
当然、恐る恐るだけど見に行きました。
罠にかかったヒグマを前に、『お前、人間に殺されるんだぞ』と言った時の悲しそうなヒグマの眼が、今でも記憶に残っている。
さらに遡ること、今から10年以上前。羅臼での思い出。
羅臼の駐在は9月10月、それを13年間担当してきた間に、ヒグマの姿を目撃したのはたったの2回だけ。
とはいえ、流石は世界遺産の知床羅臼。ヒグマの出没で猟師が銃を構えて射殺しようとしている場面や、足跡など少し前までにそこに居たよという場面を経験したのは数知れず。
その中でも、記憶に色濃く残る想いでは、浜での説明会中に出没した出来事。
相泊という地区の説明会で説明中のあらパパさん。
クマが出た~という叫びを合図に、目の前で説明を聞いてくれていた漁師も、同行していた漁協関係者(組合長以下数名)も、ほぼ全員が席を外してしまう事態が発生しました。
それは、親子熊が説明会の行ってる番屋付近に出没したからだ。
仕方がないので、あらパパさんも次の説明会会場の時間まで野次馬の仲間入り。
個別指導で検査終了後の午後から、クズレ浜という地区まで徒歩(相泊から車では行けないところ)で向う途中、ヒグマが5分ほど前までいたんだよと漁業者から聞く。
ビビりながらもクズレ浜までたどり着き、帰りは転々と数十件の番屋に顔を出しながら個別指導を行ってきた。
途中、薄暗くなり山の方からバリバリと音を立てながら動物らしきものが下りてくる。
ヒグマなのか?エゾシカなのか?薄暗い状況ではそんなことを確認する余裕はない。
悲鳴をあげながら全力疾走、一目散に相泊まで逃げてきた思いでもある。
これも個別指導で羅臼町内を移動している最中の出来事。
建根別の橋の上で漁業者が手招きしている。
なんだなんだと近づくと、橋の下を流れる川に親子熊が3頭。
母熊は岩の間に手を入れてカラフトマスを捕らえ喰っていた。
子熊たちはバシャバシャと水遊びをしていた。
数十メートルという近距離ではあったけれど、橋の上からの見物なので、ほのぼのとした風景に心地よさすら感じられた。
だけどね、カメラ好きのアホな観光客が何を思ったか至近距離で撮影しようと考えて、川の脇の方からコッソリ近づいて行きやがった。
周囲の野次馬達からの〝止めろー〟という静止の声も耳に届かず。その場は騒然とした。
大岩の陰からカメラを構えスーッと立ち上がる。それと同時に、大岩の影でカラフトマスを捕らえることに夢中だった母熊もスーッと立ち上がった。
鉢合わせだ
面白いことに、カメラを構えたアホな観光客も、不意を突かれた母熊も、互いに驚いて飛び跳ねるように後ろへ後退。
アホな観光客は一目散にカメラを捨てて逃げてきた。
驚いた母熊も周囲を警戒しながら子熊を連れて上流へと逃げていった。
緊張の糸が切れた瞬間…。
野次馬一同大笑い
だけど、この3頭は後日射殺された。民家を恐れず出てくるようになったヒグマの末路です。
昆布検査と熊の思い出、思い出してみると結構あるな~。
今年の利尻島での昆布検査でも、渡ったヒグマが見つからなかったら何か面白いこと起きるかもしれない。…ってか、観光客に影響があるとか無いとか都合のイイ人間側の勝手な理由をつけて、山狩りして探し出してでも射殺されるのがおちかもね。
でもね、今年の出張は全て宿に泊まることにする。ビビりなもので。