若手昆布漁業者の本音と現代の昆布消費の実態
今日も、浜廻ってきた。あらパパさんにとって日々積み重ねの大事な仕事の一つだ。
・手間(採ってきてから製品化までの人員)暇(採ってきてから出荷するまでの時間)があまりかからないで出荷できるなら採る。だから早採りは都合の良い時間に合わせて採ってる。
・昆布の繁茂は悪くないと思うけど、手間暇のかかる夏本番の昆布は採らずナマコを頑張る。
・昆布以外の魚種のほうが手間暇もかからないし、直ぐにお金になる。
稚内西浜の昆布干場で、早採り昆布を採ってる若い漁師から直接話を聞いた本音。
昆布漁を盛り上げるために、生産地の環境を整えようが何をどう進めようが、消費量を伸ばさない限り今後の発展は望めない。絶対に。
使われなくなったモノを沢山作ったって売れるわけないし、食べられなくなったモノを沢山採ったって食べてくれるわけもない。
究極、売値を半値にするならば、使ってくれたり食べてくれたりはするだろう。
でも、それでは何も始まらない。
こうなったら、モノは変わらずとも新たな形や流れを作るしかないな。
あれをこうして、ここをああして、そんでもってあれとここをこうしてああして…。
うん、名案だ。これはイケるかもしれない。
毎日毎日、頭の中はグルグル、口元はブツブツ、目元はニヤニヤ、手先はクルクル。
妄想の毎日。
6月に入りました。就業時間も今日から夏時間です。
稚内地区の早採り昆布も今月いっぱいですが、これまで採った昆布は長切仕立ての(水)昆布として出荷されます。
一般の方々が想像されるリシリコンブとは違い、道東方面で採れるナガコンブの様なスタイルに仕上がっています。
身も薄く、塩辛い昆布だけれど、さすがはリシリコンブです。風味もうま味も上品。
煮物にお勧めします?
と言いたいところですが、やはり煮物には道東のナガコンブには敵わないと思うので、あらパパさんはお勧めしません。
薄かろうが塩辛かろうが、やはりリシリコンブはダシとして使ってもらいたい。
旬の昆布に比べれば、うま味の濃さは劣る。けれど、食材の美味しさを上品に引き立てる役目はピカイチだ。
特にお勧めしたい使い方は昆布〆です。
塩辛さがあるので、魚の刺身を〆るのなら、表面の塩分をある程度水で流してから使っていただくとよろしいかと思います。でもね、野菜や山菜を〆るのなら、霧吹きで湿らせる程度で十分。程よい塩味が良い仕事をしてくれます。
最近のお気に入りは白菜漬け
白菜と昆布と塩と鷹の爪、たまに麹。材料はたったこれだけです。
最近、北海道産の白菜が安く出てくるようになったので、頻繁に作っては楽しんじゃっています。
作り方は後日、改めてご紹介しますけど、昆布を贅沢に使ってます。
ちなみにあらパパさんの昆布の在庫量や種類は一般の方とは違うので、↑で紹介した(水)ではなく、利尻島産のオーガニック昆布を使っています。
でもね、白菜の漬物もそうだけど、みそ汁とかの普段使いにするなら、昆布は特別こだわらなくたって何だってイイんだよ。
いつ貰ったか分からないような戸棚にしまい込んである、どのような種類の昆布でもね。
北海道民の方へは特にソコを伝えたい
ちなみに、↑で紹介した(水)昆布は、稚内副港市場の向かって左側にある丸善という水産物を売ってるお店があるんだけど、そこへ行けば大量に売ってます。
多分、丸善だけでなく、水産物を取り揃えている観光客の立ち寄りそうな、そういった稚内市内のお店であればどこでも売ってると思うよ。ちなみに豊富温泉のふれあいセンターにも置いてたな~。
価格は大体100gで300円前後。商品名は『さお前』とか『早採り』とか『春昆布』とかいろいろだけど、見た目が白くシワシワな感じで価格がお手頃なので直ぐに分かると思います。
氣になる方は是非購入してみてください。
この際、昆布を贅沢に使ってみては如何でしょうか
1000年以上前から、日本の食文化を担ってきた昆布です。
奈良時代は貢物、平安時代は税、室町時代は精進料理、江戸時代は郷土料理、明治大正昭和初期は家庭料理へと、親しみのある食材へと移り変わってきた魅力ある昆布なんだから、昭和後期から平成時代、そして次に来る新たな時代でも、人々の〝いいもの〟であってほしい。
そうでなければ勿体ないと思うんだよね
食材だけでなく工業製品だって何だってそうだけど、日本人の〝いいもの〟って世界に誇れる〝いいもの〟なのだからさ。
※『いつの時代も昆布は人々の〝いいもの〟』という表現は、札幌在住の料理家で昆布大使でもある松田真枝さんから教えてもらった、あらパパさんの中での名言です。
歴史不得意なあらパパさんとしてはありがたいっす。まっちゃん、いつもありがとう。