賞味期限100年を目指す

こんぶログのスローガン

昆布は柔らかく保管しよう

乾燥した硬い昆布を柔らかく処理しましょう。
詳しくは〝こちら〟と〝動画をご覧いただきご参考ください

 

先日紹介した50年前の昆布が、あらパパさんの手元に届きました。

見るからに古めかしい昆布です。

 DSCN3135.jpg 

検査日が昭和42年8月30日で検査員名が?田矢次郎??
産地は銭亀沢で生産者が松田正敏さん、マコンブの折こんぶの3等です。

 

あらパパさん、道南地区の経験はないので、産地の状況や規格に関することは分かりません。けれど、美味しさの品質は何処の昆布であっても、一目見ただけでそれがどの程度のモノなのかは分かってしまいます。

 

50年前のこの昆布も、スローガンに掲げているとおり、先ずは水を吹きかけて柔らかくしました。柔らかくすることで、昆布の持つ風味や質感がハッキリと見えてきます。

 

みえた

 

試食に選んだこの昆布は、本来の〝旬〟を少しだけ過ぎた昆布のようです。

そして、浅瀬の岩場に繁茂していた昆布であることも分かりました。

当時の(今も)銭亀沢の環境は全く分からないけれど、採取された岩場付近は砂地で、干場の環境もかなり悪かったかもしれません。

そんな時代でありながら、ここまでの伸しと折を作っていたことに〝さすがは昆布生産技術のトップを誇る道南地区だ〟と感心した。

 

昆布を見て一口食べただけで、あらパパさんの脳裏にはそういったことが目に浮かぶ。

あくまでも想像の世界だけど、そこがまた楽しい。

 

そうそう、味というか香りはね、さすがに古い臭いがしました。

とはいえ、腐ってる臭いでもカビの臭いでもないです。

あらパパさんが良く使う言葉なんだけど〝戸棚臭い〟臭いがしてました。

昆布以外の海藻類(乾製品)は1年も経つと戸棚臭くなって不味くなるんだけど、昆布だけは何年たっても戸棚臭くもならないし美味しさだって落ちないですよと、あらパパさんの昆布WSではいつもそう言ってきました。

したけどさ、さすがに50年も経つと戸棚臭くなるのかね。

あらパパさんの持ってる21年前の日高昆布も、16年前のマコンブも、12年前の羅臼昆布も、まだまだ戸棚臭くはない。少しだけ16年前のマコンブだけが日向臭いような氣がするけど。

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でね、味の方なんだけど、見てわかる通り表面にうま味成分がかなり出てしまってるのもそうだけど、やはり旬を過ぎてる昆布なので、昨年頂いた尻岸内産の旬のマコンブと比べると、うま味の濃さはかなり落ちる。


でもね、戸棚臭さを差し引くと、良くか悪くか面白ことに、昆布の風味も磯臭さも生臭さも殆ど感じず、マッタリというかまろやかというか…。対象に味比べした昆布のうま味と磯の香が強かった分、無味ではないけれどそれに近い味わいだと思った。

 

昆布の熟成って4~5年が限界だよね

 

昆布業界ではそんな話をよく聞きます。

あらパパさんは正直なところ、そんなコトはどうでもイイ。

昆布の種類や保管の状態も、それぞれに違いはある。ましてや同じ個体を1年目、5年目、10年目と、人間の五感で味比べすることはできないのだから(成分分析はできるけど)、何がどう美味しくなるかは分かったものじゃない。

そんなことより、50年という歴史を重んじながら、何年経っても素晴らしい食材でいられる、そういったことに鑑みるんだよ。

 

でね、あらパパさんは何が言いたいかというと、年数の経った食べられる昆布は、それだけで貴重なわけよ。熟成されるほど美味しくなるとか、誰が食べても美味しいとか、そんなことを評価するのではなく、ジャムとか酒とか缶詰なんかと違い、密封もされてない食材そのものが50年とか100年とか日持ちするということ自体がスゲーんだよ。

多分、ここまで日持ちする食材は、日本の国民食である梅干し(ちゃんと作った)と昆布くらいかもね。ちゃんと作った味噌はどうなんだろう?

 

賞味期限とは、『美味しく食べられる期間』

消費期限とは、『安全に食べられる期間』

 

さてさて、今回のこの昆布、安全に食べられることは分かった。けれど、美味しく食べられるかどうかは料理に使ってみなくては分からない。

 

でね、何を作って食べてみようかと色々考えたんだけど、先ずさ、この昆布ってさ、50年間も大阪の昆布屋さんの昆布倉庫で待機していたんだよね。

昆布って〝縁の下の力持ち〟〝名わき役〟と言われてるじゃない、何だかさ、ジ~ッと時が来るのを待って待って待って、やっとの思いで日の目を見ることのできた売れない俳優を想像しちゃったわけよ。

同期の俳優たちは50年前に流行ってた主役を引き立てて盛り上げていたんだろうけれど。

だからさ、せっかくだからさ、当時には出会えなかったであろう主役と共演させてあげたいと、あらパパさんは思ったわけ。

でもね、品種改良された主役は数知れず居るけれど、普段あらパパさんちで食べている食材や味噌汁の具には、今のこの時期の旬の食材で、50年前に出会うことはできなかった主役を探しだしてあげることは…(難)。

 

さすがは日本食文化〝和食〟だ

昔も今も大きく変わってね~

 

そんな時、お向かいのおじさんから、宗谷の稚ホタテをお福分け。

今夜は稚ホタテの味噌汁を食べよう。

 

ん?

 

氣になったので、『ホタテ養殖の歴史』とネット検索してみた。

 

ほうほうほう、なるほどなるほど

 

ホタテ種苗の附着と中間育成篭の研究成果が現れたのは、あらパパさんが生まれた頃のようだ。

ってことは、稚ホタテって50年前の昆布達には確実に出会うことができなかったわけだ。

 DSCN3149.jpg


ということで、50年前に生産された銭亀沢産のマコンブと稚ホタテのうま味の相乗効果を味わうことにした。

 

うまいっ

 

戸棚臭くて、マッタリで、まろやかで、無味に近い昆布ダシだけど、利きダシでそれを体験したあらママさんへも感想を聞く。 

 

おいしい~

戸棚臭くないし

味噌のうま味もホタテのうま味も引き立ってる

ってかさ、いつもの味噌汁より美味しい~

50年前の昆布だって思うからかな?

でもさ

50年経った今でも

昆布の仕事をちゃんと熟せるってスゴイよね

私たちも見習わなきゃね

 

50年間待ちに待って、やっとの思いで出番がやってきた名わき役。

静かな演技だけれど、しっかり主役を盛り立てるその役に、衰えは全く感じませんでした。


マジ、これで分かった。

利きダシをすると昆布それぞれの味や風味の特徴は顕著に表れる。けれど、昆布のダシは利きダシで楽しむものでもなければ味わうものでもない。

昆布のダシは料理の美味しさを引き立てる役目なんだ。

一席数万円もする割烹や料亭は別として、一般大衆を相手にしている居酒屋とか普段の家庭料理であれば、どのような昆布を使っても、美味しさや家族の笑顔を引き出してくれることは間違いない。

ただそこに必要なことは、人間の感じる美味しさは、舌で感じる味覚よりも、目や耳で感じる情報の方が大事だということも…。

 

昆布も料理も人間も

魅力をアピールすることが大事なんだ

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ダシガラ昆布はフキと一緒に炒めてみたら美味かった。

繊維が超柔らかくなってるので炒め物には向いてるね。

ただね、ダシをとるときは昆布の表面がかなり溶けやすくなってるので、そこだけはガマン。

 

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